野球人の3割しか知らない:審判のジェスチャー[迷ったら審判を見よ!]

こんにちは、メルマウです。

昨日、残念なニュースが飛び込んできました。
今年記念すべき70回目を迎える予定であったプロ野球オールスターゲームと、二軍選手が出場するフレッシュオールスターゲームの中止が発表されました。

また開幕日の決定も先送りされました。あとどれだけ我慢すればいいのやら…。

そしてこの記事を書いている最中(16時)、さらに悲しいニュースが!
今年度の全日本大学野球選手権の中止が発表されました。
う…うわあぁぁ(´;ω;`)…

野球のない夏なんて迎えたくないですね。
緊急事態宣言の解除が見えてきた地域もあるようですが、正直まだ不安です。
早く解除されてほしいのはもちろんなのですが、だからといってすべて元通りというわけではないということを頭に入れておかなくてはいけません。

そんな中ですが、先日我々審判員と一部界隈の(?)ファンにとっては待望の動画がNPBのホームページにアップされました!


プロ野球の“13番目のチーム”である審判員の方々による、審判のジェスチャーやコールについてのレクチャー動画となっています。

そう、僕らはこういう動画を待っていたんです!!(*^▽^*)


〇審判の理解は野球の理解につながる
多くのスポーツには審判員がいますが、とりわけ野球は審判員が判定をしないと試合が進まないスポーツです。

さらに言うと、野球のルールは非常に複雑な部分が多く、現役選手でも何かと混乱しがちです。
でも、そういった珍しいプレイや混乱するようなプレイが起きた場合でも、審判員は必ず何かしらの判定を下します
ということは、そういったときはまず審判の判定を確認すればある程度解決ができるわけです。
そのためには、審判員がどういった状況の時にどんなジェスチャーとコールでどういった趣旨の判定をするのか頭に入れておかなくてはいけません。
…いけません、というと言いすぎかもしれませんが、頭に入っていればいざというときにその知識が役に立ちます。


〇画期的な“情報源”
そういった情報は、インターネットで検索をかければいくらでも出てきます。
が、団体やカテゴリーによって様々なやり方があり、たとえ大手(法人格)の団体が出していたとしても、そういった情報に当たる人はある程度予備知識がある人のように思えます。

例えば全日本野球協会(BFJ)のホームページには、規則委員会が発行する各種資料や、審判講習会のマニュアルなどがアップされていますが、こういった資料は実際に審判員として活動されている方向けに作成されているので、全く知らない人が読んでも難しいでしょう。

また文字や写真だけでは分かりづらい、というのもあると思います。

今回公開されたのは、プロ野球の審判員が(=プロ野球の公式な情報として)、動画でひとまとめにしてあるという、何とも画期的な“審判情報”なのです!!

こういった情報があれば、難しい資料や専門の講習会に参加せずとも、ある程度の知識を持っておくことでより野球観戦が楽しめるようになると思います。

またこれを機に審判に着目してくれるファンが増えたらうれしいです!


〇同じジェスチャーでも状況によって色々な意味がある
例えば、アウトの判定をするときは右手で拳を作り肘の角度は90で腕を前に出します。
が、このジェスチャーはフライやライナーが捕球されたときにも用いられます。
その時はアウトではなく「キャッチ(That's a catch)」の判定です。
または、ハーフスイングの際の「スイング」判定も同様です。

またその逆のセーフの判定をするときは、両腕を横に広げるジェスチャーをしますが、このジェスチャーは
・フライやライナーが捕えられなかったとき「ノーキャッチ」
・タッグをしようとしたができていない「ノータッグ」
・ボールが外に出そうになるなどしてボールデッドになりそうだったがならなかった「インプレー」
・接触など妨害になりえる動きがあったが妨害でない「ナッシング」
バットが回っていない「ノースイング」
と、状況に応じて色々な意味合いを持ちます。

よく野球中継の状況の方が、フライなどが落ちた場合に「セーフのジェスチャーを…」と言っていることがあります。確かにジェスチャーそのものはセーフと一緒ですが、判定の意味合いは違うのです。


〇指さし確認もする
また今回の動画では1つだけ取り上げられていましたが、ボークや妨害など違反行為があった場合は右手でポイントする(指をさす)ジェスチャーもあります。

またはタッグをした場合などの指さし確認として左手を使う場合もあります。


〇ここまで頭に入っていたら本当にすごい
また、審判員が複数いる場合は状況に応じて役割分担をします。

例えば四人制の場合、外野にフライが行ったら誰か1人がそれを追うので、残りの3人で4ヶ所の塁の判定を受け持ちます
そのためにフォーメーションが決められていることも、多くの野球人は知りません。

ですが、それを知っておけばどういったシチュエーションでどの審判員の判定を確認すればいいのか分かります(実際そんなことができる選手は希少です)。


例えばこの動画で取り上げられているシーン。
1アウト満塁からセンターにフライが上がり、センターのグラブに一旦は触れたのですが捕らえられず、ボールはフェンスに当たりました。

この場合打球方向はセンターの後方ですが、二塁塁審はダイヤモンドの内側に入っているので、外野への打球を追いません。
一塁塁審と三塁塁審が2分割で追います。

この場面では一塁塁審が打球を追いました。そしてきちんとボールが捕えられていないことを見極め、手を横に広げて「ノーキャッチ」の判定を下しています。

それが視界に入っている打った近藤選手は、二塁に向かって走っています。
しかしそれが見えていない一塁ランナーの大田選手は、フライが捕球されたものだと思い込み一塁ベースに戻ろうとしてしまいます。

前のランナーを追い越してしまうとアウトになってしまうので、近藤選手も慌てて逆走し大田選手に進むよう指示しますが、ボールは二塁に転送され大田選手はフォースアウト

結果大田選手の思い込みによる走塁ミスで、記録上は「センターゴロ」になるため近藤選手には安打が付かないという、ちょっとかわいそうなことになってしまいました。

今回は1アウトだったのでホームインしていた三塁ランナーと二塁ランナーの2点は認められますが、もしこれが2アウトだったら得点も無しになります( ゚Д゚)


〇頭がいいと野球は有利(前も書いたような?)
そんなわけで、いざというときに混乱して慌てるのではなく、まずそのプレイに対してどんな判定が下されたのかを落ち着いて確認すれば、ミスを避けることができます。

場面と状況を常に把握しながらゲームを楽しみましょう。

また我々審判員も、選手たちや観衆のために適格で分かりやすいジャッジを心がけましょう。


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