野球人の3割しか知らない:「ボーク」を犯すのはピッチャーだけじゃない

こんにちは、メルマウです。

最近は実戦の場がないので、内容がもっぱら「野球ハナタカになろう!」シリーズばかりですが、ご了承ください<(_ _)>

さて、多くのスポーツには反則行為についてとそのペナルティについてのルールがあります。野球も例外ではありません。

野球で起こりうる反則行為として一番有名(?)なのは、やはり「ボーク」ではないでしょうか。
主にランナーがいるときの投手の反則行為で、これを犯してしまうと走者が1つ進塁できてしまいます。もちろん三塁ランナーがいたら得点になってしまいます。

しかし、「ボーク」が適用されるのはピッチャーだけではなく、キャッチャーの場合もあるということは、あまり知られていないことかもしれません。

今回はそんな通称「キャッチャーボーク」について記していきます!


〇あまり意味なし?故意四球(敬遠)の時のルール

規則6.02(a)ボーク
(中略)
(12)故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合。
【注】〝キャッチャースボックスの外にいる捕手〟とは、捕手がキャッチャースボックス内に両足を入れていないことをいう。したがって、故意四球が企図されたときに限って、ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば、本項が適用される。

キャッチャーは9人の野手の中で唯一、ファールゾーンに位置できる守備位置です。
他の8人は必ずフェアゾーンに位置していなければいけません(投手はもちろんマウンドです)。
そして、バッターボックスの後ろには「キャッチャースボックス」というスペースが設けられており、基本的には白線で区切られています。
ただ、キャッチャーが最初に位置する場所は「ホームプレートの直後」としか規定されておらず、ピッチャーからの投球を受けるときなどを含めいつでもその場から離れてよいことになっています(5.02(a))。
そのため、このボックスはあくまで目安です。

故意四球(いわゆる「敬遠」)のためにキャッチャーが完全に立ち上がった時だけは、両足をそのボックスの中に置いて置かなければなりません。
ですが、プロ野球ではこの規則は厳格には適用されていません。
また、2018年の規則改正で申告故意四球が導入されてからは、そもそも敬遠のために投手が投げる必要がなくなったので、この規則の活躍機会は減りました。

ちなみに私は2017年に神宮球場にプロ野球観戦に行った時、阪神福留選手への敬遠が暴投になって得点が入り、最終的にそれが決勝点となるという珍事を見たことがあります。


〇打撃妨害とボークのダブルペナルティ!?

はい、今回の投稿のメインはこっちです。(笑)

本来、ボークの規定は規則6.02(a)に記載されていますが、このルールはそこではなく、「打撃妨害」のところに記載されています。特殊な形のボークです。

6.01(g)スクイズプレイまたは本盗の妨害
 三塁走者が、スクイズプレイまたは盗塁によって得点しようと試みた場合、捕手またはその他の野手がボールを持たないで、本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れたときには、投手にボークを課して、打者はインターフェアによって一塁が与えられる。この際はボールデッドとなる。
【注1】捕手がボールを持たないで本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れた場合は、すべて捕手のインターフェアとなる。
特に、捕手がボールを持たないで本塁の上またはその前方に出た場合には、打者がバッタースボックス内にいたかどうか、あるいは打とうとしたかどうかに関係なく、キャッチャーのインターフェアとなる。またその他の野手の妨害というのは、例えば、一塁手などが著しく前進してきて、投手の投球を本塁通過前にカットしてスクイズプレイを妨げる行為などを指す。
注2】すべての走者は、盗塁行為の有無に関係なく、ボークによって1個の塁が与えられる。

【注3】本項は、投手の投球が正規、不正規にかかわらず適用される。
(以下後述)

つまり、三塁ランナーのスクイズプレイや本塁盗塁(ホームスチール)の時は邪魔しちゃいけないよ、ということです。

この状況で本塁にいるのはキャッチャーが多いと思いますが、他の野手でも一緒です。
投手が投球をしている以上、打者にはそのボールを打つ権利があるわけです。
そのため、本塁ベース上に出るなどしてそれを妨げてしまった場合は「打撃妨害」が宣告され、打者には一塁が与えられます
そしてさらには投手にボークを課することとし、全てのランナーは進塁ができます。
「ボーク」ですので、三塁ランナーだけではありません。また、盗塁しようとしていたか否かも関係ありません。全員に1つの進塁です。

これが、キャッチャーの挙動によって引き起こされてしまう「ボーク」となっています。


☆次回予告
先ほどの規則にはもう1つ【注】があります。
【注4】投手が投手板を正規に外して走者を刺そうと送球したときには、捕手が本塁上またはその前方に出ることは、正規なプレイであって、打者がこの送球を打てば、かえって打者は守備妨害として処理される。

このプレイに似ていますが、ほんのちょっとので真逆の処置が取られます。
次回はそれについて扱いたいと思います。


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