野球ルールのよくある勘違い:一塁ベースを駆け抜ける時の方向は?

こんにちは、メルマウです。

今回から「野球ハナタカになろう!」シリーズの新コーナー、「野球ルールのよくある勘違い」をやっていこうと思います。

趣旨としては、”3割しか知らない”というほどではないけれど、多くの人が勘違いしているであろう事項について記していきたいと思います(こっちが先の方が良かった?)

ということで、初回は一塁ベースの駆け抜けについてです。

一塁ベースを駆け抜ける時は
ファウルゾーンへ走らないといけない

フェアゾーンへ駆け抜けた場合にタッグされたらアウト

駆け抜けた後に二塁に向かう場合は
もう一度一塁ベースを踏まないといけない

ランナーの走塁としては一番多いであろう一塁ベースへの駆け抜けですが、そのルールに関しては誤解している人が多いように思います。

〇本塁を除くと唯一駆け抜けができる塁
ベースに付いていないランナーがタッグ(触球)されるとアウトになるのは常識ですが、それが常に適用されるのは二塁と三塁。

例外として、一塁だけは打った直後のバッターランナー(打者走者)が全力疾走してくるので、ベースで止まろうとすると危険です。そのため駆け抜けることが認められています。
※一塁に逆向きに走るとき(帰塁)はこれには当てはまりません。
 あくまでもバッターランナーが最初に触れる時のみです。

〇駆け抜けはどの方向へ?
駆け抜けると当然ベースから離れてしまうことになります。
駆け抜けの条件は1つだけです。

5.09(b)走者アウト
次の場合、走者はアウトとなる。
(中略)
(4)ボールインプレイで走者が塁を離れているときに触球された場合。
【例外】打者走者が一塁に走るときは、ただちに帰ることを条件としてならば、オーバーランまたはオーバースライドして一塁を離れているとき触球されても、アウトにはならない
(中略)
【注1】四球を得た打者が一塁に進むに際しては、ただちに帰ることを条件としてなら、一塁に触れた後、走り越すことは許される。

ただちに一塁ベースに帰ればOK、というルールになっています。

規則では駆け抜けをどちらの方向にしなくてはいけないか規定していません。どこでもいいのです。
多くの場合はファーストが送球を受けるために内野の方向(フェアゾーン)を向いているので、バッターランナーは接触を避けるためにファウルゾーンに駆け抜ける場合が多いですが、ルール上そうするべきである根拠はありません。

ですが、たとえば第三ストライクをキャッチャーが捕れずに走るとき(いわゆる“振り逃げ”)などは、ファーストが送球をファウルゾーン側で捕ろうとすることもあります。
そのときにバッターランナーもファウルゾーン側に駆け抜けようとしてしまうと、正面衝突してしまい大変危険です。
なので、そういった場合はバッターランナーが避けてあげるようにし、フェアゾーン側に駆け抜けて、事故を防ぎましょう。

〇どこからが「ただちに」ではなくなる?

駆け抜けていいからと言って、いつまでもベースから離れていていいわけではありません。どのタイミングで「一塁から離れた」ことになり、タッグされるとアウトになってしまうのでしょうか。
規則では、もう少し後に記載されています。


(11)走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライドした後、ただちに一塁に帰塁しなかった場合。
一塁をオーバーランまたはオーバースライドした走者が二塁へ進もうとする行為を示せば、触球されればアウトとなる。
(以下略)

キーポイントは、二塁に行こうとしたかどうかです。
再三書きますが、フェアゾーン・ファウルゾーンは関係ありません
例えば送球が逸れたときなど、反射的に次の塁を狙おうとするかもしれませんが、そうすると一塁に戻る権利が無くなるので注意しましょう。

実際に二塁に行こうとしたかどうかは、審判員がランナーの様子を見て判断することになります。明確に「〇〇したら二塁に向かおうとしたこととする」のような決まりはないので、ここは審判員の感覚で判断されることになります。

体を二塁方向に向けたり、足が二塁方向に向いたりすれば、二塁に向かおうとしたと判断できるでしょう。フェアゾーンに入ってそうしても、ファウルゾーンだけでそうしても、判断によっては二塁に向かおうとしたことになります。

〇一度は駆け抜けたものの、やっぱり二塁に向かうなら

以上のことから、駆け抜けた後でも当然そこから二塁に向かうことができます。
学童野球などでは時々、駆け抜けた後に送球ミスなどが発生して二塁に向かおうとする際、もう一度一塁ベースを踏みなおしてから行こうとする選手がいます。
が、それは不要です。

無論踏み忘れてしまったのであれば踏み直す必要がありますが^_^;、駆け抜けは踏み忘れとは違います。きちんと一度踏んでいることになりますので、駆け抜けた場所から二塁へ直線に(塁線に対して斜めに)走って問題ありません。


☆特に低いカテゴリー(学童野球など)では、このプレイに関して混乱が生じやすい印象があります。ボランティアでお手伝いしてくださる審判さんたちも、この点について正しく把握しておく必要があります。
またそれ以外のカテゴリーも含め、一塁の判定をする際は審判員はボールの行方のみならず、ランナーの動向にも注意しなくてはいけません。


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