野球ルールのよくある勘違い:ランナーとぶつかったらアウト?【肉体的援助】
こんにちは、メルマウです。
本日、夏の甲子園の中止が正式に発表されました。
…残念としか言いようがありません。
自分も野球ロスすぎて、このブログのネタが全く浮かばない日々が続いています(-_-;)
そんな中、皮肉にも今日高校野球の試合動画を観ていて浮かんできたことがあるので、書いていきたいと思います。
✖ランナーと仲間(攻撃側のメンバー)が接触したらアウトになる✖
〇「援助」とはなんぞや
まず、僕が今回視聴したのはこの動画です。
試合の詳細などはYouTubeで開いて概要欄などを見てください。
内容としては、サヨナラホームランを放ったが、その前の走者がホームベース付近に来ていたチームメイトと接触したので、守備側がアウトになるのではないかと訴えている場面です。
〇実際はどんなルールなのか
では、守備側がそう訴えた根拠は何でしょうか。
そもそもはどんなルールなのか見てみましょう。
規則6.01(a) 打者または走者の妨害
次の場合は、打者または走者によるインターフェアとなる。
(中略)
(8)三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合。
本来は、ベースコーチが、ランナーに触れてその走塁をアシストしてはいけない、というルールです。
また記載の通り、「肉体的に援助したと審判員が認めた場合」にアウトになりますので、接触したとしてもそれが援助だと判断するか否かは審判員に委ねられています。
ですので、「触ったらアウト」というのは誤解です。
〇ベースコーチ以外がアシストしたら?
ただこの映像のシーンでは、触れているのはベースコーチではありません。
また審判員は肉体的に援助したと判断していないので、そのまま試合終了となりました。
では、ベースコーチ以外の攻撃側メンバーがランナーに触れて走塁をアシストした場合はどうなるのでしょう。
「野球審判員マニュアル 第3版」(今日第4版が発売になりました!)には、その点についても記載されていますので引用します。
145ページ
ベースコーチ以外の者が、走者に肉体的援助(後位の走者が前位の走者をつかんだり、向きを変えたり、次打者が本塁を踏み損ねた走者を押したりなど)を行った場合は?
――“追い越し”をしないように後位の走者が前位の走者の背中を押したり、また次打者が本塁を踏み損ねた(?)走者をもう一度踏み直すよう押し戻したりなどの肉体的援助を行うことはさしつかえない。ただし、走者がダッグアウトに入ってしまえば、もう(本)塁の踏み直しには戻れない。(5.09(c)(2)[規則説明](B))
(以下略)
つまり、ある程度必要に応じて触れる分には特にお咎めなしということです。
〇マナーの問題は指摘される
プロ野球では、選手がホームランを打った際にコーチとハイタッチしたり、サヨナラの瞬間に選手が一斉にグラウンドに出てきたりすることがあります。あれらはルール違反ではないものの、アマチュアでは同様の行為はマナーの観点からあまり良くないとされています。
〇肉体的援助の際の判定の仕方
さて本題は解決したところで、ついでに肉体的援助の際の審判員の判定方法についても確認しておきましょう。
上記の規則番号から分かる(分かる?)ように、肉体的援助は守備妨害の一種として扱われています。ですので基本的には発生し次第タイムをかけてボールデッドとし、対象の走者にアウトを宣告します。
ただし、その他にもランナーがいた場合は少々違ってきます。
守備側がまだ打球を処理していない間や、他にプレイを企てようとしていた(他のランナーをアウトにしようとしていた)場合に即ボールデッドにしてしまうと、それを止めてしまうことになるからです。
なので肉体的援助を受けたランナーとは別のところでプレイが起きていた場合、審判員は肉体的援助があったことを宣告だけしておき(ポイントするなど)、いったんプレイを流します。
そしてプレイが落ち着き次第、タイムをかけて肉体的援助を受けたランナーにアウトを宣告します。
しかし気を付けなくてはいけないのは、2アウトであればこの場合でも他のプレイに関係なく肉体的援助を受けたことで3アウトになるので、即ボールデッドにしてアウトを宣告します。
〇なんだかんだ触れないようにすればいいだけの話
ということでまとめますが、接触があれば何らかの判断(肉体的援助が否か)が下されることになるので、ベースコーチはどんな状況でもランナーには触れない意識でいるべきだと思います。
また審判員もベースコーチの動向を見ておき、肉体的援助と判断した場合には躊躇なくこの規則を適用するべきです。
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