野球ルールのよくある勘違い:「危険球退場」はプロ野球独自のルール
こんにちは、メルマウです。
静かーにGWが終わってしまいました。
あと3週間…せめて6月からは野球ができるように、もう少し我慢しましょう!
さて、前々回に「退場処分」のその後の報告義務について書きました。
(野球人の3割しか知らない:審判員も「始末書」を書かないといけない)
今回はプロ野球で稀に発生する事件、「危険球退場」について書いていきたいと思います。
〇そもそもはどんなルールなのか
アマチュア野球でも、残念ながら頭部に投球が当たってしまうことはあります。
ですが、プロ野球のような一発退場とは若干ニュアンスが異なります。
そもそもは、バッターを狙って投球するという、非スポーツマン的な行為を禁止するルールである点をまず確認しましょう。
規則6.02(c) 投手の禁止事項
(中略)
(9) 打者を狙って投球すること。このような反則行為が起きたと審判員が判断したときには、審判員は次のうちのいずれかを選ぶことができる。
(A)その投手またはその投手とそのチームの監督とを試合から除く。
(B)その投手と両チームの監督に、再びこのような投球が行われたら、その投手(またはその投手の後に出場した投手)と監督を退場させる旨の警告を発する。
(中略)
【原注】(前半後述)
打者を狙って投球することは、非スポーツマン的である。特に頭を狙って投球することは、非常に危険であり、この行為は許されるべきではない。審判員はちゅうちょなく、本項を適用しなければらない。
言うまでもなくこのような投球は大変危険であり、特に故意に行われたような悪質な場合は絶対に許されるものではありません。
なおご覧の通り、「危険球」というワードは野球規則には登場しません。
この規則を適用する際のキーポイントは、ピッチャーが意図的にバッターを狙って投球したか否かです。その部分の判断は審判員に一任されているところですから、きちんと状況を見極めて適用するか否かを決めます。
投球が意図的であったかどうかは一に審判員の判断による。判断に当たっては、投手の技術レベルを考慮し、意図的な投球であったかどうかを見極めないといけない。審判員は投球が意図的であったかどうかよりむしろ打者の頭に投げられたかどうかに留意すべきである。審判員は意図的かどうかを決定するに当たってこういった点を念頭に置かねばならない。
(「野球審判員マニュアル 第3版」130ページより抜粋)
〇一発退場にすることもある
審判員がこの規則を適用する場合は、2通りの対処方法があります。
試合の状況や投球の度合いによってどちらの対処をするか判断します。
・あまりにも悪質な場合
ピッチャー→退場処分
ベンチからの指示があったなど、チーム絡みの行為と判断できる場合→監督も退場処分
・一発退場まではいかない場合
ピッチャーと両チームの監督に警告
次に同じような投球があったら→ピッチャーと監督が退場処分
一発退場とするか、一度警告をして再発を防ぐか、のいずれかです。
警告の場合は報復などを未然に防ぐため、攻撃側も含めた両チームの監督に発します。
それでも同じような行為が繰り返された場合は、ピッチャーと監督の2人を退場処分とします。これは最初にその投球をしたピッチャーはもちろんのこと、その後交代して出場しているピッチャーが行った場合も含まれます。
また、発された警告に対して異議を唱えることは禁止されています。
同【原注】 チームのメンバーは、本項によって発せられた警告に対し抗議したり、不満を述べたりするためにグラウンドに出てくることはできない。もし監督、コーチまたはプレーヤーが抗議のためにダッグアウトまたは自分の場所を離れれば、警告が発せられる。警告にも関わらず本塁に近づけば、試合から除かれる。
退場処分を受けた選手や監督は、その他の理由で退場になった場合と同様にリーグ会長から制裁を与えられる場合があります。
この件とは若干形式が異なりますが、2017年6月6日のプロ野球公式戦で西本審判員(袖番号7)が「危険な投球と判断し、両チームに警告を与えトラブルを未然に防いだ」として、毎シーズンごとに審判員の的確な判定を賞賛する「ファインジャッジ賞」に選ばれています。(http://npb.jp/news/detail/20171214_02.html)
〇プロ野球では「内規」が設けられている
ここまでは、あくまでも公認野球規則で規定されている事項についてです。
日本のプロ野球ではこれとは若干異なる内規(申し合わせ事項)があります。
プロ野球の場合は「打者の選手生命に影響を与えると審判員が判断したもの」を「危険球」と定義し、そのような投球を行った場合はその投手を退場とするか、危険球とまでは言えない場合は警告を発して次に同じような投球を行った場合は退場処分となります。
またそれと同時に、責任審判の判断でその試合を警告試合とする(両チームに警告を発する)こともあります。
ちなみに「警告試合」という用語も公認野球規則には存在せず、プロ野球の内規で定められているものです。
(参考:粟村哲志監修 「わかりやすい野球のルール」 成美堂出版)
〇審判員のゲームマネジメント力が発揮されたい
このような非スポーツマン的な行為に対するジャッジメントは非常に難しいものがあります。審判員はそのときの状況、とりわけ試合のカテゴリーや選手のレベルなどを考慮しながら、的確な処置を取らなくてはいけません。
またこういった行為は未然に防ぐ努力も必要です。たとえ選手同士・チーム同士で揉めるようなことがあっても、審判員は間に入らないといけません。
事態が収束させられなくなってしまうと、最悪の場合は試合を没収しなくてはいけなくなります。それは何としてでも避けなくてはいけません。
余談ですが、こういった部分の判断と対応は、人間の感性を用いてでないとできないと思います。試合の最高責任者である審判員が、その独自の権限のもとで的確な試合進行がされるよう、コントロールしなくてはいけません。
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静かーにGWが終わってしまいました。
あと3週間…せめて6月からは野球ができるように、もう少し我慢しましょう!
さて、前々回に「退場処分」のその後の報告義務について書きました。
(野球人の3割しか知らない:審判員も「始末書」を書かないといけない)
今回はプロ野球で稀に発生する事件、「危険球退場」について書いていきたいと思います。
✖投球が頭に当たったら
ピッチャーは退場というルールがある✖
〇そもそもはどんなルールなのか
アマチュア野球でも、残念ながら頭部に投球が当たってしまうことはあります。
ですが、プロ野球のような一発退場とは若干ニュアンスが異なります。
そもそもは、バッターを狙って投球するという、非スポーツマン的な行為を禁止するルールである点をまず確認しましょう。
規則6.02(c) 投手の禁止事項
(中略)
(9) 打者を狙って投球すること。このような反則行為が起きたと審判員が判断したときには、審判員は次のうちのいずれかを選ぶことができる。
(A)その投手またはその投手とそのチームの監督とを試合から除く。
(B)その投手と両チームの監督に、再びこのような投球が行われたら、その投手(またはその投手の後に出場した投手)と監督を退場させる旨の警告を発する。
(中略)
【原注】(前半後述)
打者を狙って投球することは、非スポーツマン的である。特に頭を狙って投球することは、非常に危険であり、この行為は許されるべきではない。審判員はちゅうちょなく、本項を適用しなければらない。
言うまでもなくこのような投球は大変危険であり、特に故意に行われたような悪質な場合は絶対に許されるものではありません。
なおご覧の通り、「危険球」というワードは野球規則には登場しません。
この規則を適用する際のキーポイントは、ピッチャーが意図的にバッターを狙って投球したか否かです。その部分の判断は審判員に一任されているところですから、きちんと状況を見極めて適用するか否かを決めます。
投球が意図的であったかどうかは一に審判員の判断による。判断に当たっては、投手の技術レベルを考慮し、意図的な投球であったかどうかを見極めないといけない。審判員は投球が意図的であったかどうかよりむしろ打者の頭に投げられたかどうかに留意すべきである。審判員は意図的かどうかを決定するに当たってこういった点を念頭に置かねばならない。
(「野球審判員マニュアル 第3版」130ページより抜粋)
〇一発退場にすることもある
審判員がこの規則を適用する場合は、2通りの対処方法があります。
試合の状況や投球の度合いによってどちらの対処をするか判断します。
・あまりにも悪質な場合
ピッチャー→退場処分
ベンチからの指示があったなど、チーム絡みの行為と判断できる場合→監督も退場処分
・一発退場まではいかない場合
ピッチャーと両チームの監督に警告
次に同じような投球があったら→ピッチャーと監督が退場処分
一発退場とするか、一度警告をして再発を防ぐか、のいずれかです。
警告の場合は報復などを未然に防ぐため、攻撃側も含めた両チームの監督に発します。
それでも同じような行為が繰り返された場合は、ピッチャーと監督の2人を退場処分とします。これは最初にその投球をしたピッチャーはもちろんのこと、その後交代して出場しているピッチャーが行った場合も含まれます。
また、発された警告に対して異議を唱えることは禁止されています。
同【原注】 チームのメンバーは、本項によって発せられた警告に対し抗議したり、不満を述べたりするためにグラウンドに出てくることはできない。もし監督、コーチまたはプレーヤーが抗議のためにダッグアウトまたは自分の場所を離れれば、警告が発せられる。警告にも関わらず本塁に近づけば、試合から除かれる。
退場処分を受けた選手や監督は、その他の理由で退場になった場合と同様にリーグ会長から制裁を与えられる場合があります。
この件とは若干形式が異なりますが、2017年6月6日のプロ野球公式戦で西本審判員(袖番号7)が「危険な投球と判断し、両チームに警告を与えトラブルを未然に防いだ」として、毎シーズンごとに審判員の的確な判定を賞賛する「ファインジャッジ賞」に選ばれています。(http://npb.jp/news/detail/20171214_02.html)
〇プロ野球では「内規」が設けられている
ここまでは、あくまでも公認野球規則で規定されている事項についてです。
日本のプロ野球ではこれとは若干異なる内規(申し合わせ事項)があります。
プロ野球の場合は「打者の選手生命に影響を与えると審判員が判断したもの」を「危険球」と定義し、そのような投球を行った場合はその投手を退場とするか、危険球とまでは言えない場合は警告を発して次に同じような投球を行った場合は退場処分となります。
またそれと同時に、責任審判の判断でその試合を警告試合とする(両チームに警告を発する)こともあります。
ちなみに「警告試合」という用語も公認野球規則には存在せず、プロ野球の内規で定められているものです。
(参考:粟村哲志監修 「わかりやすい野球のルール」 成美堂出版)
〇審判員のゲームマネジメント力が発揮されたい
このような非スポーツマン的な行為に対するジャッジメントは非常に難しいものがあります。審判員はそのときの状況、とりわけ試合のカテゴリーや選手のレベルなどを考慮しながら、的確な処置を取らなくてはいけません。
またこういった行為は未然に防ぐ努力も必要です。たとえ選手同士・チーム同士で揉めるようなことがあっても、審判員は間に入らないといけません。
事態が収束させられなくなってしまうと、最悪の場合は試合を没収しなくてはいけなくなります。それは何としてでも避けなくてはいけません。
余談ですが、こういった部分の判断と対応は、人間の感性を用いてでないとできないと思います。試合の最高責任者である審判員が、その独自の権限のもとで的確な試合進行がされるよう、コントロールしなくてはいけません。
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